8月19日は「国際オランウータンの日」

8月19日は「国際オランウータンの日」です。
当園では、ボルネオオランウータンを2頭飼育しています。
そこで少し真面目な話をします。

<オランウータンについて>
現地の言葉で「森の人」を意味するオランウータンは、東南アジアに浮かぶスマトラ島とボルネオ島にしか生息してない大型の類人猿です。
他の類人猿とは異なり、群れを作らず単独で生活するとても珍しい動物です。

採食する時も、寝る時も、生活のほとんどを地上10m以上の樹の上で送ります
そのため、長い腕や柔らかい関節、そしてとてつもない握力を持ちます。
これはリキにヨーグルトを与えた際に、取られて曲げられたスプーンです。

自然界でのエサは、主に果実や木の皮と葉、ときには虫などを食べ、木の枝を折って作った自作のベッドで寝ます。

オランウータンはボルネオ島に生息するボルネオオランウータン、
スマトラ島に生息するスマトラオランウータン、
そして2017年に新しく見つかったタパヌリオランウータン(スマトラ島に生息)の3種類がいます。
しかし、いずれのオランウータンも絶滅の危機に瀕しています。

1900年にはスマトラ島とボルネオ島合わせて約32万頭以上いたとされていますが、現在では合わせて7万頭ほどしかいません。

<オランウータンと森>
彼らが絶滅の危機にある要因のひとつに、生息域である森が減少していることがあげられます。
生活のほとんどを樹上で生活する
オランウータン=「森の人」
にとって森がなくなることは死活問題です。

様々な問題がある中、今回は「森」に絞ってお話しします。

ではなぜ、彼らの暮らす森が減少しているのでしょうか?

<森林破壊とパーム油>
皆さんは「アブラヤシ」という植物を知っていますか?
アブラヤシとはパーム油という油を取るために東南アジアを中心に育てられている植物のことです。
このパーム油、なんと世界で一番多く使われている植物油なんです。
それもそのはず、パーム油は食品、洗剤、化粧品など、多くの生活用品に使われています。
栽培や採取に適していて、加工しやすい便利なパーム油。
当然、その原料には、たくさんのアブラヤシが必要になります。
そのため元々あった森を切り開き、プランテーション(巨大なアブラヤシの農園)を作りました。
写真は基然と植えられたアブラヤシのプランテーションです。
色は緑ですが、ここはもう人間のための「農園」です。
野生動物が生活できる森ではありません。

しかしその森は、オランウータンだけじゃなく、たくさんの動物が暮らしていました。
森を奪われ住む場所がなくなった動物たちは、少しずつ数を減らしているのです。
オランウータンの絶滅の危機には、ペット目的の密猟や密輸など、他にも様々な問題がありますが、
私たちの豊かな暮らしと密接に繋がっている、この森林破壊について、今回は知ってほしいと思います。

<私たちができること>

当園に暮らすオランウータンに、まずは親しんで、
オランウータンがどんな動物なのかを知ってほしいです。
まずは雌のナナさん(33才)
ナナはエサだけでなく、運動場に生えている木の葉や草を抜いて食べるほど食欲旺盛ですが、人見知りをするなど少し慎重な一面もあります。
そして雄のリキくん(10才)
リキは好奇心旺盛でとてもかしこく、教えたことをすぐ覚えてくれます。
ハズバンダリートレーニングにも積極的で、爪切りや体温測定、歯磨きなどすぐ覚えてくれました。

その時の様子をインスタグラムにありますので良かったらごらんください。

★公式インスタグラム(@fukuokazoo) →「口の中の健康状態」

オランウータンのオスは成長すると顔の横にフランジという「でっぱり」が出てきます。
フランジはオス自身が強いと思ったときにしか張り出さず、弱いままだと一生フランジがでないオスもいます。
ちなみにリキはまだ成長途中のためフランジはありません。
こちらは昨年推定53歳で亡くなったミミです。
めっちゃ立派なフランジです。
これはかなりのイケメンです、たぶん。
最近は将来的なペアリングを視野に、二頭の同居生活も始まりました。
年の差はあるものの、仲が良い二頭です。

話しがそれましたが、
そんな彼らの仲間たち、野生のオランウータンをとりまく環境が厳しいんだと言うことを、周りの人に伝えたり、話題にしたりしてほしいです。
要因は様々ですが、その一端に私たち人間が求めた「豊かな暮らし」があることを自覚することが、まずは第一ステップではないでしょうか。

さらにパーム油だけを悪者にせず、まずは「できること」を探してほしいと思います。

「物を大事にする」、「ゴミを減らす」こと。
良く言われる漠然とした言葉ですが、求めすぎない事って保全活動の基本です。
本当に必要なものを必要な分購入する、そんな些細なことでも立派な「できること」です。

そして自然環境に配慮したり、生物多様性保全活動に貢献している企業の製品を選ぶようにする。
すると、間接的に森を守ることへ寄付していることになります。
当園の中にも、ボルネオ支援自販機があります。
場所はアジア熱帯渓谷エリアからトラ、ライオン舎へ向かう途中の休憩スポット(お手洗い・自販機)や、コツメカワウソの獣舎付近にあります。

その他、イオン株式会社が提供する電子マネー「ボルネオ保全WAON」もございます。

ここまで話しといて、そんなことしかできんのか?となんだかもやもやしますよね。

そのもやもやが生まれた人は、おそらく、環境保護ができる人です。
(さらに、この長いブログをここまで読み進めてくださった方も、もう仲間だと思っていますw)

ちょっとしたことでも、毎日じゃなくても、継続的に続けていくことが何より大切です。

スマホで簡単に調べることができる時代、どんな取り組みがあり、自分なら何ができるのか、を考え、選んでほしいと思います。
そんなお話を含め、8月19日の『国際オランウータンの日』に「ここばな」と題してオランウータンのトークイベントを開催します。

当園のオランウータンたちのお話しを中心に、小学生でも楽しめるような内容となっています。
まだ残席ありますので、ご興味ある方はぜひご参加くださ~い。
 
【日時】
8月19日(土)17:30~18:30

【会場】
動物情報館ZooLab 多目的コーナー

【対象】
小学生以上推奨

【参加方法】
事前申込制(先着20名)
※申込期間~8月18日(金)   
 申し込み多数になり次第締め切り。

【申込方法】
電話(092-531-1968)もしくは、動物情報館の動物相談デスク横での申し込み

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